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加々美氏と天使のボサノバライブ

2007.06.23

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連荘ライブだ。昨夜はマリーで湘南サムさんのボサノバライブ。

編成は、私のフルート、湘南サムさんのギター、ピアノのさいちゃん、そして新宿からきたボーカルのTAKAKO。

ジャズのフルートやってますというと、たいていボサノバがやりたいんだろ?と言われるのだが、あれはけっこう困る(というより焦る)。

ちなみに、このフルートジャズ=ボサノバというステレオタイプは、じつは欧米にはほとんどなく、どうやら日本で出来上がった固定観念らしいのだ。知り合いのボサフルートは、これを払拭するのに苦労するという。

まずジャズボサとボサノバはまったく別物だ。ブラジル耳にはジャズボサ(スタンゲッツみたいなノリ)は、ジャズにしか聴こえない。トムジョビンのシングルノートもしかりだ。

何が違うかは明快だ。ボサは裏ノリはしない。元になっているサンバには、頭ノリでグルーブの種類が数百通りもあるほどだ。裏の北米、表の中南米。つまりグルーブのシステムが別世界なのだ。

そして、ジャズの標準編成にまずフルートは入らないが、ボサの標準編成は、なんとフルート、ギター、ピアノで、ベースやドラムはボサには余計物だ。フルートや歌のささやきを殺すからだ。

ベースとドラムに拮抗したブラス裏ノリの北米、フルートの表ノリのささやきのボサという感じ。だから人一倍の歌心でささやけないフルートはブラジル耳には「退場!」と聴こえる。

なにしろブラジルには、表グルーブをするフルートの超絶技巧の名手が、ゴロゴロしている。しかし、彼らは一切ジャズフルートはできない。母語(ノリ)の違いと思えばよい。

したがって、私がボサでやるのはジャズボサでしかない。スタンゲッツを想起すればすぐにわかるように、こぶしを裏ノリでひんまわすフェイクが主体なのだが、しかしボサではこのジャズノリはあまり自由にはならないという制約がかかる。

ということで、今宵も母語のジャズで通そうと思ったら、なんと、1セット初っ端から、ボサノバギターの名手という加々美淳さんが、ビクタースタジオのレコーディングが早めに終わったとかで、ベンツワゴンで乗りつけ、ライブをみにきてしまった。

3ステージで、2セットを予定通り、私のジャズ語インスト2~3曲()とボーカル2~3曲でこなしたところで、サムさんがギターを加々美さんにバトンタッチして、サムさん本業のMCに。


と同時に加々美さんといつも歌っているという歌姫が次々登場する。私はカウンターのかぶりつきで目の保養。

今井美紀みたいな渡海真知子さんは、はにかみっぽい仕草たっぷりで歌う。夜なのにトーストの朝の香りみたいな、なんとも幸せな気分にさせられた。ちなみに彼女の歌ったノーモアブルースは私が10代はじめに、初めてフルートを手にして吹いた曲だったりする()。

フフフとかそういう笑い声を小気味よく交えて、全身でボサノバしてるっ!って感じがヨイ。女の子に生まれ変わったらボサノバしまくってみたいと、脳神経が思わず反転[m:67]しかかった[m:61]。

誰だって一度は思ったことがあるだろう、ジョイスのフェミニーナになりたいというかなんというか・・・。ボサって女の子である嬉しさが無邪気にはじけちゃうんだよね! 

うーん変態と無邪気さって、対極だぁ! そういや私、ボサの鬱曲(マイナー曲)ばっかやったなぁ。[m:60]

躁状態でブラスが裏ノリする北米と、女の子が嬉しさを炸裂させるボサノバ、あー対極だ! あぁやっぱり裏コブシは鬱の表れなのだよ、神谷さん。[m:55]

もう一人のさっちゃんは、なんか妖精のような独特なファッションと雰囲気。かわいい鳩みたいなサンバを、これまた仕草たっぷりに歌う()。

と、しばし目の保養をする私のすぐ隣には、Aguaちゃんが。悪魔がエンジェルに囲まれてるようで、これは久々にハッピーな夜であった。音楽はこうでなきゃ。[m:49]

ブラジルいきてー! 誰かイヴァンリンスやって。