記事一覧

ジャズの世界が初めてな生徒さんへのアドバイス

2012.09.09

ファイル 240-1.jpg

フルートはある程度吹けるが、でもジャズはいままであまり聴いたこともなかった、という生徒さんへのアドバイスです。ジャズをやってみたい、ウブロスーパーコピーというのはどういうことなのでしょう?

ジャズは、クラシックが独自な世界なように、けっこう独自な世界です。ご自分で今までジャズをしこたま聴いてきたような、マニアックな方でないと、なかなか面食らうことがあります。

第一、目的は譜面なしでの(もちろん暗譜ではなく)vetements コピー即興ですので。その抵抗感をなくすレッスンを避けては通れません。

よく、ジャズはその場で作曲するもの、という人がいるのですが、作曲はしていません。曲が出来合いでも、そのまま吹くのではなく、アドリブをしなければ、ジャズではないのです。

しかし、音大などでフルートを学習し、譜面が読める生徒さんの場合は、コピー譜面などで練習されるのも一興ではあります。こういうのを、ジャズスタディーという風に、アメリカの音大なんかでは呼ぶんですが。

とはいえ、フルートはジャズのメインの楽器ではないので、なかなかコピー譜はおろか、音源もないのが実情です。

なので、ジャズの世界の敷居を越えられるかどうかは、フルート以外のジャズ、ピアノやサックスや他の楽器のジャズに、どれだけ親しめているかにかかっています。

というのは、ジャズでは、ピアノがサックスの模倣(まね)をして、サックスがたとえばドラムのまねをして、という風に触発されあって、リズムという命をキープするのを主眼とする音楽で、そこが、一見すると、クラシックとは一番大きな違いに感じられるからです(本当は同じなんですが)。

たとえば、正確な演奏ということを考えて見ましょう。クラシックでの正確な演奏は、テンポを崩してまで、綺麗な音を実現するという発想をします。フルートのパートがテンポを遅らせたら、合奏者も自然とそれについてきたり、コンダクターがそれを引き出すのです。

しかし、ジャズでは正反対で、リズムをキープして、あとは省略してもいい、というのが正確な演奏です。その上で、どれだけ省略(いい加減)をせずに、自分の音の存在感を出せるか、ということをジャズミュージシャンは意識しているのです。

このように、クラシックの世界から来ると、カルチャーショックとなるようなジャズの世界を理解しないと、なかなか掴めず、たぶん「なんちゃってジャズ」みたいな風にもなっていかないはずです。

こうしたことから、ジャズでは練習の仕方も、少し違います。クラシックでは、独奏(一人で)練習するのが、楽曲やパートを仕上げるということなのですが、ジャズの練習の基本は本来は、リズムセクション(ピアノやベース)と、どれだけ合奏できるか、というのが練習です。

したがって、自宅での自分ひとりのジャズの練習の主役は、スケール練習といったものになるのです。

ところが、これもクラシックの音階練習とはだいぶ世界が違います。クラシックでは、ハ長調ならドからはじまりドで終わる音階の譜面だけを練習したりします。しかしジャズでスケール練習というのは、音階のどの音程でも切り返せるかとか、スケールをパターンにしてそれをどれだけ機械的に練習するか、という課題になります。

以前、ジャズフルート用のスケール練習楽譜が、たくさん売られていました(バークリーのものや日本のものなど)。しかし、いま楽譜売り場にほとんどなくなってしまいました。これにも訳があります。

ジャズのスケール練習は読譜の練習ではないのです。クラシックでは音階練習は読譜するための一番簡単な練習のためにあるのですが、ジャズは譜面から離れる練習のために、スケールを機械的に練習するのです。

もちろん、無限にスケールもパターンもないので、定型的なパターンや、いくつか重点をおくべきスケール練習法があり、そうした譜面が市販されているべきなのですが、残念ながら今はそういう教則本がありません。最近はどうもそのあたりで躓いてしまう方が多いようです。

レッスンではそういう練習法に触れていきます。

さらに、最初の方に書いたジャズの世界に入る、ジャズ史のスタディーが必修です。フルートジャズの場合、明らかにモダン(ビバップ以降の)ジャズを、少なくとも網羅的に概観し、どういう音楽世界かを、感覚的に理解していないとむずかしいでしょう。

そのためには、アメリカの音大などでは、ジャズ史としてスタディーさせます。こうしたことも、レッスンに盛り込んでいるため、一レッスンがすこし長時間(3時間程度)になっているのです。

とにかく、ご自分でも、いっぱいジャズをききましょう。一個一個の練習曲を仕上げれば、ジャズに近づける、というクラシックの単純な考え方は、ジャズにはおそらく歯が立たないはずです。

なお、今月から、木曜日もレッスン曜日になりました。レッスン可能な曜日は、月、水、木 金となります。どちらかというと、月曜はほんとうはお休みの予定ですが、他に予定がないですので、お受けすることができます。